ごま油は何故値上げ傾向なのか。カルテル問題も

ごま油は何故値上げ傾向なのか。カルテル問題も

ごま油の価格上昇の背景

ごま油の価格が上昇している背景には、いくつかの複雑な要因が絡み合っています。以下にその主な理由を詳しく解説します。

1. 原料ごまの価格高騰

ごま油の主原料であるごまの価格が大幅に上昇しています。特に、主要な輸出元であるアフリカ諸国での政情不安が供給不安を引き起こし、生産減の懸念が強まっています。これにより、国際相場が急騰し、日本を含む各国でのごまの輸入価格が約2倍に高騰しました。

2. 円安の影響

日本では、円安が進行しており、これが輸入品の価格に直接的な影響を与えています。特に、ドル建てで取引されるごまの輸入コストが上昇し、結果としてごま油の価格にも影響を及ぼしています。

3. 物流費と製造コストの上昇

世界的なコンテナ不足や原油価格の上昇により、物流費が増加しています。さらに、燃料費や人件費の高騰も製造コストに影響を与えており、これがごま油の価格上昇につながっています。

4. 需要の増加

中国をはじめとする各国でのごま油の需要が増加しています。特に、中国では経済活動の再開に伴い、ごま油の需要が旺盛であり、これがさらなる価格上昇を引き起こしています

これらの要因が重なり合い、ごま油の価格上昇を招いています。特に、アフリカでの生産減や円安といった外部要因が大きく影響しており、今後も状況が改善されない限り、価格の上昇傾向は続く可能性があります。

ごま油メーカーがカルテル問題に関与している疑い

カルテル疑惑の背景

公正取引委員会は、2024年3月13日にごま油メーカー4社に対して立ち入り検査を行いました。この4社は、かどや製油、日清オイリオグループ、竹本油脂、九鬼産業であり、国内のごま油市場の大部分を占めています。

カルテルとは

カルテルとは、複数の企業が競争を避けるために、価格や生産量、販売地域などについて協定を結ぶ行為を指します。これにより、企業は市場での競争を制限し、価格を高く維持したり、供給量を調整したりすることができます。カルテルは消費者の利益を損なうため、独占禁止法によって「不当な取引制限」として禁止されています。

カルテルの種類

  1. 価格カルテル: 商品やサービスの価格を企業間で合意し、価格競争をなくすものです。これにより、価格が高止まりすることがあります。
  2. 数量制限カルテル: 企業が共同で生産量や販売量を制限し、市場への供給を減少させることで価格を維持するものです。
  3. 市場分割カルテル: 複数の企業が販売地域を分け合い、各地域で独占的に販売を行うことで競争を避けるものです。

カルテルは、企業の利益を守るために行われることが多いですが、消費者にとっては選択肢が減り、価格が高くなるなどの不利益をもたらします。そのため、法律で厳しく規制されています。

ごま油のカルテルの内容

かどや製油、日清オイリオグループ、竹本油脂、九鬼産業は、ごま油の卸売価格を不当に引き上げるためにカルテルを結んだ疑いがあります。具体的には、営業担当者同士が直接会ったり、電話で連絡を取り合ったりして、卸売業者に販売するごま油の価格を一斉に引き上げることに合意していたとされています。

カルテルの目的

カルテルが結ばれた背景には、以下のような目的が考えられています:

  • 大口顧客からの値下げ要請への対抗:顧客からの値下げ要求に対応するため、価格を維持する必要があった。
  • 安定的な収益の確保:生産コストの上昇を背景に、安定した収益を確保するために価格を引き上げた。
  • 値下げ競争の回避:厳しいビジネス環境下で、各社間の値下げ競争を避けるために協議が行われた[6][7]。

カルテル発覚後の今後の展開

公正取引委員会は、立ち入り検査で得た資料の分析や関係者への聞き取りを進め、詳しいいきさつを調査しています。カルテルは長期間にわたり、複数回行われていた可能性があるとされ、今後の調査結果が注目されます

カルテル発覚後のごま油価格傾向

ごま油のカルテル問題が発覚した後も、ごま油の価格は上昇傾向にあります。以下の要因が影響しています。

  1. 原料価格の高騰: ごまの主要産地であるアフリカの内政不安や干ばつにより、原料ごまの価格が上昇しています。この影響で、メーカーはコストを吸収しきれず、価格を引き上げざるを得ない状況にあります
  2. 円安の影響: 円安が続いており、輸入コストが増加しています。このため、ごま油の価格も上昇しています
  3. 物流費と燃料費の上昇: 世界的な物流の混乱や燃料費の増加も、製造コストを押し上げる要因となっています

これらの要因により、カルテル問題が発覚した後も、ごま油の価格は引き続き上昇している状況です。メーカーはコスト削減や物流の合理化を試みていますが、価格改定が不可避となっているようです

スーパーでの実際の価格調査

具体的な価格は控えますが。

かどや 純正ごま油 600gを比較対象とし、オーケー、ロピア、ロジャースなどの格安スーパーでは、カルテル発覚後、価格が下がるわけでもないが、上がるわけでもない。

極端な値上げにはなっていない印象です。

これがカルテルが発覚しなかった場合、メーカーのやりたい放題でとんでもない価格になっていたかもしれません。

ごま油の製造している大手メーカーは限られているため、カルテルがやりやすかったのかもしれませんが。

消費者にとっては価格競争が全く起きず、全く良いことはありません。

カルテルが発覚したことは、結果的には良かったと思います。

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